Java ME MIDP 開発のクイックスタートガイド
このチュートリアルでは、NetBeans IDE を使用して、Java™ Platform Micro Edition (Java™ ME プラットフォーム) の MIDP (Mobile Information Device Profile) アプリケーションを作成する手順を概説します。このチュートリアルは、できるだけすばやくモバイルアプリケーション開発を始められるように作られています。このチュートリアルでは、プロジェクトシステムを使用した基本的な作業手順の一部を学ぶことができます。デバイスエミュレータに「Make My Day」というテキストを表示する、「MyHello」という名前の Java ME MIDP プロジェクトを作成する 2 通りの方法を示します。このチュートリアルを終了すると、IDE が備えている CLDC/MIDP アプリケーション開発用のほかの機能を使用する準備が整います。
目次
要件
このチュートリアルを完了するには、次のソフトウェアとリソースが必要です。
注: IDE にバンドルされているエミュレータは、ダウンロードしたオペレーティングシステムインストーラによって異なります。
- NetBeans 6.7 以降の Windows ディストリビューションには、Java ME SDK 3.0 がバンドルされています。
- NetBeans IDE の Linux ディストリビューションには、Sun Java Wireless Toolkit 2.5.2 がバンドルされています。
- NetBeans 6.9 の MacOS X バージョンには、Java ME SDK 3.0 for CLDC がバンドルされています。
ビジュアルモバイルデザイナを使った MIDP アプリケーションの作成
NetBeans IDE には、MIDP プロジェクトを簡単に作成できるウィザードがあります。プロジェクトの作成時に、アプリケーションの開発にビジュアルモバイルデザイナ (VMD) を使用するか、またはソースコードエディタを使用するかを、選択できます。VMD を使用すると、視覚的にアプリケーションのフローを計画し、そのアプリケーションで使う画面をデザインできます。VMD では、アプリケーションのコードが自動的に作成され、変更がデザインキャンバス上に保存されます。
MIDP/CLDC アプリケーションの作成
- 「ファイル」>「新規プロジェクト」(Ctrl+Shift+N) を選択します。「カテゴリ」から「Java ME」を選択します。「プロジェクト」で「モバイルアプリケーション」を選択して、「次へ」をクリックします。
- 「プロジェクト名」フィールドに
MyHello
と入力します。デフォルトのプロジェクトの場所を使用するか、システム上の任意のディレクトリに変更します。このチュートリアルでは、このディレクトリを $PROJECTHOME
と表記します。
- 「主プロジェクトとして設定」と「Hello MIDlet を作成」の各チェックボックスをオンにします (どちらもデフォルトでオンになっています)。「次へ」をクリックします。
- エミュレータプラットフォームはデフォルト設定を選択し、残りもデフォルト設定を使用します。「完了」をクリックします。
$PROJECTHOME/MyHello
プロジェクトフォルダが作成されます。このプロジェクトフォルダには、ソースおよび、プロジェクトの Ant スクリプトなどのプロジェクトメタデータのすべてが含まれます。アプリケーション自体はビジュアルモバイルデザイナの「フローデザイン」ウィンドウに表示されます。

注: 使用可能なパレットコンポーネントの詳細については、ビジュアルモバイルデザイナのパレットのリファレンスを参照してください。
Java ソースコードの編集
ここで、MIDlet によって表示されるテキストを編集します。
- 「HelloMIDlet.java」の下の「画面」をクリックすると、スクリーンデザイナのウィンドウが開いて「デバイス画面」が表示されます。この画面は、このアプリケーションで利用できる唯一の画面です。
- 「デバイス画面」の「Hello World!」メッセージをクリックします。「プロパティー」ウィンドウで、「Hello World!」テキストをクリックしてウェルカムメッセージテキストを変更し、Enter を押します。この例では「Make my day」と入力しました。

- 「テキスト」フィールドに入力したテキストのプレビューが「画面」ビューに表示されます。

プロジェクトのコンパイルと実行
- 「実行」メニューから「実行」>「主プロジェクトを実行」(F6) を選択します。「出力」ウィンドウで、プロジェクトのコンパイルの進行状況を確認します。
HelloMIDlet.java
ファイルが構築されてから実行されます。デバイスエミュレータが開いて、MIDlet の実行結果が表示されます。デバイスエミュレータが MIDlet を起動し、ソースコードに入力されたテキストを表示します。
ヒント: MIDlet を実行するエミュレータを指定するには、プロジェクトノードを右クリックし、コンテキストメニューから「指定して実行...」を選択します。Java ME SDK 3.0 で利用できる「DefaultFXPhone1」は、次のように表示されます。

- 「Exit」の下のボタンをクリックして、MIDlet を閉じます。デバイスの右上隅のボタンをクリックして、エミュレータのウィンドウを閉じます。
ソースコードエディタを使用すると、MIDlet のコードを手動で作成できます。ソースコードエディタでコードを作成すると、より柔軟にコードを編集したり、プリプロセッサコードブロックを挿入したりできます。ここでは、「新規プロジェクト」ウィザードと「新規ファイル」ウィザードを使用して MyHello
アプリケーションを作成し、ソースエディタを使用してコードを完成させます。
Java ME MIDP プロジェクトの新規作成
- 「ファイル」>「新規プロジェクト」(Ctrl-Shift-N) を選択します。「カテゴリ」から「Java ME」を選択します。「プロジェクト」で「モバイルアプリケーション」を選択して、「次へ」をクリックします。
- 「プロジェクト名」フィールドに
MyHelloMIDlet
と入力します (「MID」はすべて大文字)。先に作成された MyHello
プロジェクトについて指定したものとは異なる「プロジェクトの場所」を指定します。このチュートリアルでは、このディレクトリを $PROJECTHOME
と表記します。
- 「主プロジェクトとして設定」チェックボックスを選択し、「Hello MIDlet を作成」チェックボックスを選択解除します。「次へ」をクリックします。
- デフォルトのエミュレータプラットフォームを選択し、残りもデフォルト設定を使用します。「完了」をクリックします。
$PROJECTHOME/MyHelloMIDlet
プロジェクトフォルダが作成されます。このプロジェクトフォルダには、ソースおよび、プロジェクトの Ant スクリプトなどのプロジェクトメタデータのすべてが含まれます。
- エクスプローラウィンドウで「
MyHelloMIDlet
」ノードを右クリックし、「新規」>「MIDlet」を選択します。
- MIDlet 名として「
HelloMIDlet
」と入力します (「MID」はデフォルトで大文字ではありません)。「完了」をクリックします。HelloMIDlet.java
ファイルが作成され、ソースコードが IDE のエディタウィンドウに表示されます。
- ソースエディタ内をクリックして、次の部分を
public class HelloMIDlet extends MIDlet
次のように変更します。
public class HelloMIDlet
extends MIDlet implements javax.microedition.lcdui.CommandListener
{
startApp()
メソッドの前に次のテキストを追加します。
private void initialize() {
javax.microedition.lcdui.Display.getDisplay(this).setCurrent(get_helloTextBox());
}
public void commandAction(javax.microedition.lcdui.Command command, javax.microedition.lcdui.Displayable displayable) {
if (displayable == helloTextBox) {
if (command == exitCommand) {
javax.microedition.lcdui.Display.getDisplay(this).setCurrent(null);
destroyApp(true);
notifyDestroyed();
}
}
}
private javax.microedition.lcdui.TextBox get_helloTextBox() {
if (helloTextBox == null) {
helloTextBox = new javax.microedition.lcdui.TextBox(null, "Hello Test Code", 120, 0x0);
helloTextBox.addCommand(get_exitCommand());
helloTextBox.setCommandListener(this);
}
return helloTextBox;
}
private javax.microedition.lcdui.Command get_exitCommand() {
if (exitCommand == null) {
exitCommand = new javax.microedition.lcdui.Command("Exit", javax.microedition.lcdui.Command.EXIT,
1);
}
return exitCommand;
}
javax.microedition.lcdui.TextBox helloTextBox;
javax.microedition.lcdui.Command exitCommand;
- 次のように
startApp()
メソッドに initialize();
行を追加します。
public void startApp() {
initialize();
}
Java ソースコードの編集
MIDlet で表示するテキストを追加してみます。
get_helloTextBox()
メソッドで、例にあるコード「Hello Test Code」を任意のテキストに置き換えます。たとえば、「Make My Day」にします。
プロジェクトのコンパイルと実行
- 「実行」メニューから「実行」>「主プロジェクトを実行」(F6) を選択します。「出力」ウィンドウで、プロジェクトのコンパイルの進行状況を確認します。
HelloMIDlet.java
ファイルが構築されてから実行されます。デバイスエミュレータが開いて MIDlet の実行結果が表示され、ソースコードに入力したテキストが表示されます。
